「SHAZAM!」#3 (1973)
今月は徹底的にキャプテン・マーベル関連のコミックを読んでいました。72年の歴史ってすごいですね。歴史が長い分だけあって戦争やトラブルもあったようです。40年代の「Whiz comics」、「Captain Marvel Adventures」、そしてスピンオフの「Captain Marvel Jr.」は戦争色が強くて、舞台が戦地だったり、対する悪者はナチスや日本をモチーフとするものが多かったりします。
ところで、キャプテン・マーベルはもともとFawcett Publicationsのヒーローだったのですが、今はDCコミックスにいますよね?今現在キャプテン・マーベルがDCにいるのは、1941年にDCコミックスが「スーパーマンのパクリだ!」と訴訟を起こして和解の結果Fawcettから著作権を買い取ったからなのです。
スーパーマン「ほら、僕たち似てるよね?(`・ω・´)ドヤ」
似 て な い w
中身も"宇宙人のおじさん"と、"魔法で変身する男の子"じゃずいぶん違う気がします。まあ、マントをつけた超人が少ない昔だから起きたことなのでしょう。私的にはスーパーマンより、この人たちの方が重要な気が… ↓↓
Marvelコミックスのキャプテン・マーベル(通称"Shazamじゃない方")とM. F. Enterprisesキャプテン・マーベル。
M. F. Enterprisesの方はBilly Baxton少年が登場するキャプテン・マーベルのパロディー作品です。
ちなみに、今DCにいるマーベル一家やシバナ博士、ミスター・マインド、ブラックアダムなどのキャラクターはみんなFawcettから購入したもの。
DCうらやましいぞ!ミスター・マインド可愛いぞ!www →
Fawcettの「Captain Marvel Adventure」が廃刊した1953年から、DCが「SHAZAM!」#1を出す1973年までのほぼ20年キャプテン・マーベルもビリー・バットソンもメディアから姿を消しています。キャプテン・マーベル復帰第一巻↓↓
Mr. ビンダー: ビッ、ビリー・バットソン?キミは、この20年間行方不明だったじゃないか!
しかも子供のままだ!
そんな律儀に時代考証守らなくていいからwww
訴訟のことを念頭におくと作品の見方が変わりますね。みんなの憧れのヒーローの裏には、いつも一著作物としてのヒーローの現実が、今わたしたちが見ているヒーローって一体何者なんだろ?
そして、今回DCコミックスの「SHAZAM!」で一番気になったのがこの話↓↓
「SHAZAM!」#3 - A Switch in Time (1973) story by Denny O'Neil
以下、作品のレビューです。
#1で、なぜか20年間行方不明で、20年間子どものままだったビリー。久々に同い年の子たちと遊びたいと思ったビリーは、ダンスホールへ行きますがファッションや流行語が理解できず余計に孤独を感じてしまいます。
見た目は子どもだけど、本当は20歳年上なんだ…、成長の喜びも悲しみもない…、僕だけ普通じゃないなんて、そんなの不公平だ!と、魔法使いシャザームのところへ相談に行きます。大衆の中の孤独、確かに今のビリーは普通の子どもではないのかも。
そこで、シャザームに魔法で年相応(30歳くらい)の姿にしてもらったビリー。
そんなことしてキャプテンマーベルの方は大丈夫なのかな?
って、大丈夫じゃなかった! 飛んで行くキャプテンwww
以前は子どものビリーから大人のキャプテンになっていたのですが、今回は逆に大人のビリーから子どものキャプテンに変身。
魔法をはじく力も弱まっていたため悪い手品師の魔法で石にはならなかったものの、体が上手く動かなくなります。こうなったら変身を解いて人間でいた方がはやいじゃないかと考えたキャプテンは、ビリーに戻ります。
手品師の威しにひるまないビリーは、見事キャプテンの力を使わずに石にされたフレディー(キャプテン・マーベルJr.)を助けることに成功!
みんな無事で良かったけれど、Whiz放送局長さんもフレディーも自分がビリーだと気づかない様子。そんな二人を見たビリーは子どもに戻してもらうため再びシャザームのもとへ。
ビリーが成長すると、キャプテンは弱く小さくなってゆく。小さなビリーが大人やキャプテンの助けなしに解決できないことも、大人になると自分ひとりで解決できるようになる。大人のビリーには、キャプテンというヒーローがいらなくなってしまうのでしょうか。人の成長とともにヒーローの限界が見えるようになること、ヒーローが小さくなってゆくこと、ヒーローの印象が変わって行くこと、というのは読者にも言えることでしょうね。
そして、孤独なビリーが大人の姿になってはじめて気が付く自分の居場所が、人の大勢いるダンスホールではなく、ただ自分のことを認知してくれる友達や身近な大人のいるフォーセット・シティーだったっというところがなんだかしんみりしますね。大人のビリーは自身のヒーローや理想を失う代わりに、本人の知らない内にフレディーや助けた人たちのヒーローになってゆく。色々考えさせられるけど、ビリーが子どもに戻ろうと決意するところでちょっと安心感のある8ページです。
訴訟があって良かったのか悪かったのかは上手く判断できませんが、小さなビリー・バットソンと大きなキャプテン・マーベルが72年経つ今もなお私達にヒーローとは何かという問いを投げかけているような気がします。
っということで、ワーナー・ブラザーズさん!キャプマ実写映画を作ってほしいですw o(*>ω<*)o
こちらでは初めまして!
返信削除キャプテン・マーベルの記事でちょっと気になったことがあるので、コメントをば。
>訴訟を起こしてFawcettから著作権を勝ち取ったからなのです
の部分なのですが、この言い方はちょっと語弊があるんですよね。^^;
こちらに日本語の解説があるのですが、敗訴ではなく和解の後、DCがフォーセットからキャプテンマーベルの権利を買い上げたというのが正確な経緯のようです。
http://www20.atwiki.jp/nijiame/pages/287.html
にしても、このページにも記述があるマーベルマンの変身の掛け声「KIMOTA!」って酷いですね(笑)
イットンさん、情報ありがとうございます!
削除訴訟の件はアメリカのちょっと言い回しの強い友達から聞きかじったことを無理やり日本語に直したので変なことになっちゃって、自分でも経緯をしっかり確認してから書くべきでした。間違った情報を流してしまってすみません。今すぐ訂正します!!
えっと、こちらではAyako Nさんの方がいいのかな。
削除とにかく、どういたしまして!
Ayakoさんのブログ楽しみにしているので、個人的には間違いとかあんまり気にせずにどんどんやって欲しいですね。
それと、さっき一緒に貼っとけばよかったんですが、一応英語版Wikipediaの方のページも。
http://en.wikipedia.org/wiki/National_Comics_Publications_v._Fawcett_Publications
>KIMOTA!
返信削除其の辺はまぁ、日本語と英語の間の超え難き壁って事なのでしょうかね……
英語圏が作品に日本語を取り入れると楽しいことになるのはお約束ですねwww
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